【タンニンとは】
柿やお茶の葉にも含まれるポリフェノールの一種で、
革を鞣す(なめす)際に最も重要なものの一つです。
腐敗しやすい動物などの皮を革に変える性質があります。
酸または酵素により加水分解される加水分解型と
分解されない縮合型に分類されます。
加水分解型の多くは乾留によりピロガロールが、
縮合型はカテコールという有機化合物ができます。
さらにタンニンは金属塩と結合し、色調を持つので、
植物性の染料やインクにも利用されます。
【鞣しの種類】
革のなめしには、この植物タンニンを使った
タンニンなめしの他にも、
クロムなめし、アルデヒドなめし、アルミニウムなめし等、
様々ななめし方法があり、各々特徴が異なります。
他のなめし方法に関しては、また別の機会にでも
詳しくそれぞれ説明したいと思います。
革鞣しーーークロムなめし
├ーアルデヒドなめし
├ーコンビなめし
├ー白なめし
├ーアルミニウムなめし(ミョウバンなめし)
├ー油なめし
└ー植物タンニン鞣し
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┃├ーミモザ(ワットル) ┃
┃├ーチェスナット ┃
┃├ーケブラチョ ┃
┃└ーミロバラン ┃
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【植物タンニンなめしとは】
植物タンニン鞣しによって得られる革は
総じて、クロム革に比べて堅牢度が高いが、
伸び、及び弾性が少ないという性質があります。
また、皮への浸透が遅いため、鞣しに時間もかかります。
植物タンニン鞣しに使うタンニンにもたくさんの種類があり、
それぞれ細かい性質が異なり、目的によって使い分け、
またはそれらを混合することにより鞣しが行われます。
ここでは、植物タンニンなめしに使われる
タンニンの種類を詳しくご紹介します。
【ミモザ(ワットル)】mimosa(wattle)
ミモザ(ワットルとも呼ばれる)のタンニンは
アカシア属植物の樹皮から抽出されます。
ミモザにも非常に多くの種類がありますが、
樹皮の質により、
ブラックミモザ・シルバーミモザ・ゴールドミモザ
の3種類に大別されます。
代表的なミモザエキスは62%のタンニン分と20%の非タンニン分を含んでいます。
タンニン分とはエキス成分の中で、皮粉に吸着する成分の事を指し、
タンニン分/非タンニン分の比率が大きくなれば、
なめす力である、収斂性(しゅうれんせい)が強くなります。
ミモザタンニンは縮合型タンニンで、湯温で特に粘度が低く、
またpHが高く、不純物が少ないので、
殆どの植物タンニン鞣しに適したタンニンで、
良質な触感の良い革が得られます。
また、成分に糖の含有量も少ないため、
他のタンニンと混合タンニンの調製にも用いられます。
【チェスナット】chestnut
ヨーロッパチェスナット、アメリカチェスナットの木から得られるタンニンで、
底革や多脂革、ベルトなど、厚い革の鞣しによく利用されるタンニンです。
個体や液体の状態で市販もされていますが、
生産方法によってタンニン含有量が異なります。
チェスナットタンニンは加水分解型に属しており、
他タンニン剤と混合して用いる事が殆どです。
皮に対する作用が早く、
急速に硬い革が得られるのが特徴です。
【ケブラチョ】quebracho
ケブラコとも呼ばれ、南アメリカのウルシ科から
抽出されるタンニンとなります。
ケブラチョタンニンは暗褐黒色をしており、
60%以上のタンニン分を含んでいます。
縮合型タンニンに分類され、
冷水に溶けにくいという性質を持ちますが、
亜硫酸処理を行うことで、冷水にも溶けるように調製されて用いられます。
【ミロバラン】myrobalan
熱帯に生えるシクンシ科の果実から抽出されるタンニンです。
加水分解型のタンニンで、
ミロバランで鞣した革は、柔軟で淡い色の革が得られるのが特徴です。
ただし、しまりや堅さに欠けた特徴も持つので、
ケブラチョやミモザと混合して利用される事が多いです。
ミロバランタンニンは長時間置いておくと、
不溶性物質が沈殿してしまう性質を持つため、
保管には注意が必要です。
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