革製品のココを見てくれ! ~コバ塗り編~

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革小物製造業を始めて50年以上の私たちが

是非革製品において見て欲しいポイント。

 ー『こういうところに職人の技術が詰まっているんだ』

 ー『分かりにくいけど、この一手間が大事なんだよな』

そんなメーカー目線の製品見極めポイントをご紹介。

 

もちろん、革が高価格だとか、カード段が多いとか、ブランド品とか。

分かりやすく差別化できるポイントも多いのですが、

せっかくなので「へぇー!そんなところを見たらいいのか!」

と言ってもらえるようなこだわりを紹介したい。

友人に話して唸らせることができる事間違いナシです!


 

今回は”コバ塗り”です。

”コバ塗り”とは...

コバと呼ばれる革製品の革側面部分の処理、

つまりコバ処理の内の1つです。

 

コバ処理には他にも”へり返し”や”へり返し合わせ”など、

色々な種類があります。

コバ処理全般に関しては、コチラの記事をご覧ください。

見た目以上に手間のかかっているこの”コバ塗り”

 

出来上がりだけを見ると、上の写真のように

ただニスを塗っているだけのように見える事がほとんどです。

 

でも実際には、”削る”と”塗る”を繰り返さなければならない、

非常にめんどくさい手間のかかる作業なのです。


 

【削る】

写真のようなバフ機を使って、表面を削っていきます。

(※写真は安全のため機械を止めて撮影しています)

 

削る事で表面を滑らかに均一化します。

これによって、ニスを綺麗に塗ることが可能です。

逆にこの作業をせずにニス塗りをしてしまうと、

ニスがはみ出したり、均一に塗れません。

 

革製品を見る際に、革の側面を見て、

ニスがうまく塗れていないことがありますが、

もちろん塗る人の上手さもありますが、

このバフがけの下準備をしっかりしていない事が

原因でコバ塗りがうまくいかないこともしばしば。

 

もちろん、ただ適当に削るだけではダメで、

革の種類(牛革、豚革、鹿革・・・)や厚み、

牛革の中でもなめし方や脂の量、

もっと言うと1枚の革の中でも部位や繊維の方向などなど、、、

一つ一つのパーツごとに職人は力加減を調節します。

 

そんな繊細な作業なので、バフ機もいくつか種類があり、

スポンジのような柔らかいものから、

石・木など硬く力強く削れるものまで。

 

職人は複数の機械を使いこなしながら、

一つ一つ丁寧にバフがけをしています。


 

【塗る】

均一化された革の側面に、ニスを塗っていきます。

 

写真のように、革の直線部はニス塗りの機械を使って塗ります。

(※こちらの写真も安全のため止めて撮影しております)

バッグの持ち手など、長い直線パーツが得意な作業です。

 

しかし、弊社のような革小物製造がメインのメーカーですと、

ニス塗りのほとんどをキリ等を使った手作業で行っています。

その作業量は想像に難くないと思います。。。


 

【繰り返し】

ニス塗りを1回したら、ハイ終わり、ではありません。

 

1度ニス塗りした側面をさらにバフがけし、

2度、3度とニス塗りを繰り返します。

 

その回数はメーカーにより様々ですが、

弊社工場の場合は、2~4回のバフがけとニス塗りを繰り返します。

 

そうやってできたコバ塗りがこちら。

ステッチ(糸)がくっきり見えるほど拡大しても

ムラやはみ出しなく、しっかりとコバ塗りできている事が分かります。

 

とは言え、ここまで拡大しないと気付かない程の仕上げ。

もちろん商品を遠目から見ても分かりにくく、

コストカットのためにコバ塗りを簡易に済ます商品もたくさん存在します。

 

だからこそ、革製品を見に行った際には是非、

コバ塗りの綺麗さや丁寧さを見て頂き、

職人の細かいところまで行き届いた、

製品に対するこだわりを感じて頂ければと思います。

 

撮影に使用した商品はコチラ(https://item.rakuten.co.jp/leather-g/jc101/)

 


 

最後に、いくつかコバ塗りの写真を掲載します

左から、

未処理 、 1回のバフがけとクリアニス塗り 、 複数回のバフがけとニス塗り

をそれぞれ施した革製品の拡大写真です。

 

・・・どうでしょうか?

職人の製品へのこだわり、少しは伝わっていると幸いです。

本記事に関する内容はもちろん、

その他革製品に関するご質問・ご要望がございましたら、

お気軽に弊社までご連絡くださいませ。

 

Tel:06-6720-1522

E-mail:info@nadaya.co.jp

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