革小物製造業を始めて今年で60年の私たちが
是非革製品において知って欲しいポイント。
ー『こういうところに職人の技術が詰まっているんだ』
ー『分かりにくいけど、この一手間が大事なんだよな』
そんなメーカー目線の製品見極めポイントをご紹介。
もちろん、革が高価格だとか、カード段が多いとか、ブランド品とか。
分かりやすく差別化できるポイントも多いのですが、
せっかくなので「へぇー!そんなところにもこだわっているのか!」
と言ってもらえるようなこだわりを紹介したい。
友人に話して唸らせることができる事間違いナシです!
前回:コバ塗り編はコチラ
今回は漉き編です。"スキ"と読みます。
革小物において、厚みを調整する工程です。
全体の厚みを調整する事を"ワリ"
一部の厚みを調整する事を"スキ"といい、
特に端部分のスキを"ヘリスキ"と言います。
さて、突然ですが問題です。
下の画像のレザーは何回厚みを調整しているでしょうか。
(クリックで拡大)
正解は4回です。
まず、全体の厚みを調整します。(①)
次に、ヘリの厚みを辺ごとに調整しています(②,③,④)
2~4でそれぞれ厚みが異なります。
これは他のパーツとの重なりによって、
全体の厚みがバラバラだと不格好になってしまうためです。
重なるパーツの数や場所によって、
0.01mm単位で厚みを調整しています。
実は見極めに5年かかると言われる、
革製品製造でも難しい工程の一つなのです。
これを財布だと20以上あることもある全パーツの
辺全てで調整しながら厚み調整を行っています。
製造する工房によっては、
ある程度の厚みで妥協することも多いのですが、
(漉き用の治具を毎回変えるのが手間なため)
財布が出来上がったときの佇まいの美しさは、
このスキ工程にかかっていると言われています。
最終的には他パーツと重なってしまうので、
完成品から読み解くのが難しい工程ではあるのですが、
レザーの加工工程では重要な工程です。
レザークラフトをされる方はもちろん、
革好きには是非知って頂けると嬉しいこだわりポイントです。
革漉きだけに。
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