革の種類 ~ 牛革編 ~
皮革製品でもっとも使われる牛革。
製品に革製とだけ記載されている場合は、
ほぼ牛革製と言って間違いありません。
文字通り、動物の牛から取れる皮をなめして作られます。
ほとんどが食肉加工の過程で生まれる副産物のため、
供給が安定した革です。(その他は乳用や病死など)
また、その流通量の多さから、
年齢や性別、出産の有無など、
牛革の中でも細かく種類分けがされています。
牛の見た目からも想像できる通り、
他の動物(羊、ヤギ、豚など)に比べても
全般的に大判で厚く、また、草食動物で大人しいので、
キズも比較的少なく、繊維組織も均一、
強度、耐久性にも優れている、などなど
皮革製品に適した特性を持っています。
供給先としては、北米やインドなどが多いですが、
姫路を中心として、地生(じなま)と呼ばれる
国産の牛革も日本国内では流通しています。
革の種類をそれぞれ見ていきましょう。
・カーフ
生後6ヶ月以内の仔牛の皮からなめされた革の呼称です。
フランス料理などをイメージすると分かりやすいですが、
特にヨーロッパでは仔牛を食べる習慣が多く、
欧州からの輸入が多いのがカーフの特徴です。
若い牛革のため、薄く、きめ細かい表面が特徴で、
牛革の中でも最高級と言われる素材です。
特に3ヶ月以内の仔牛の場合には
ベビーカーフと呼ばれることもあります。
柔らかさ:★★★★★
厚さ:★☆☆☆☆
価格:★★★★★
・キップ
生後6ヶ月~2年の牛皮。
カーフから少し成長し、厚みや強度が増しています。
カーフと共に牛革では高級革に分類されており、
キップやカーフを使用している場合は、
『キップ使用』のように明記される場合が多い。
柔らかさ:★★★★☆
厚み:★★☆☆☆
価格:★★★★☆
・ステア
生後2年以上の雄牛皮、特にステアの場合は
3~6ヶ月の頃に去勢した牛を指します。
市場に最も流通している牛革で、
牛革使用の表記がある場合の殆どがステアです。
成長しているため判も大きく、
また厚みがあり、加工しやすいのも特徴です。
柔らかさ:★★☆☆☆
厚み:★★★★☆
価格:★★☆☆☆
・カウ
生後2年以上で出産経験のある雌牛の皮です。
牝牛のためステアより柔らかく薄手です。
ステアに次いで流通量の多い牛革となります。
人間の男女と同じく、牛も牝牛の方が
皮が柔らかく、きめ細かい皮をしており、
雄牛に比べて比較的高値で取引されています。
柔らかさ:★★★☆☆
厚み:★★★☆☆
価格:★★☆☆☆
・ブル
生後3年以上の雄牛の皮を指します。
繊維組織が粗く、厚手な皮が特徴です。
上述の皮に比べ、キズが多いことも多いですが、
大判で厚手、また丈夫な素材のため、
メンズのワイルドな雰囲気の商品に用いられます。
柔らかさ:★☆☆☆☆
厚み:★★★★★
価格:★★☆☆☆
このように牛革は種類も豊富で、
それぞれ異なる特徴を持った革であることが分かります。
その希少性や価格もさることながら、
製品によって適した革を選び、
より特徴を活かした商品を作ることが、
革製品のデザイナーや職人には求められます。
本記事に関する内容はもちろん、
その他革製品に関するご質問・ご要望がございましたら、
お気軽に弊社までご連絡くださいませ。
Tel:06-6720-1522
E-mail:info@nadaya.co.jp