人肌と同様に革にも、きめ細かさ、ツヤ、ハリ、シワ等
その部位により性質が異なります。
革は1枚や半裁(半分)などで取引されるため、
同じ物を作るときにも、作る製品や、
そのパーツによって、適切な部位、方向があります。
裁断者はパーツの使用をイメージしながら、
最適な部位を適切な方向で裁断します。
例えば靴のつま先部分は、
曲がる方向と繊維の方向が異なると、
履き心地が悪く、最悪破れてしまいます。
革の裁断を専門に行う工房も有る程、
裁断は職人性の高い職種です。
ただ型通りに切っているわけではないんですね。
革の部位(パーツ)は特徴ごとに大きく分けると、
上のように3箇所の分け方をされて取引されることが多いです。
①ショルダー(SHOULDER)
文字通り、牛の肩に当たる部分の革です。
柔軟性を持ちながら、強度も有る部分です。
ただ、よく動いていた部分ですので、
他よりもシワが多い部分でもあります。
②ベンズ(BENDS)
革のメインとなる部分です。
繊維の密度、強度、厚みなどに優れており、
またキズも少なく大判で裁断ができるために、
製品の表情部分はもちろんのこと、
ベルト、靴の底、バッグの襠(マチ)など、
大判~小物まで広い用途に使用されます。
バット(BUTT)と呼ばれる事もあります。
③ベリー(BELLY)
腹部の部分で軽く伸びやすい性質があります。
比較的薄く、強度が低いこともあり、
他パーツより安価に手に入ることがあります。
強度が低い事から、主に小物に利用される部位です。
④ヘッド(HEAD)・ネック(NECK)
文字通り、頭・首部分の革となります。
シワが多く、また繊維の方向も複雑なため、
このパーツだけで取引されることはありません。
ショルダーと似た性質を持ち、
裏側部分や内装部分によく用いられる部分です。
上図のように繊維の方向があります。
矢印方向には革は伸びやすくなります。
カバンの上下や持ち手部分、靴のつま先など、
特定の向きによく動くパーツの裁断は、
特に繊維の向きを意識して裁断する必要があります。
優れた製品は、そのパーツごとに、
適した部位を選び、
また、適した方向で裁断することで、
丈夫で長持ちする高品質な製品作りが可能です。
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